願う場所、望む奇跡



急に言った私の言葉に、義哉は目を丸くして驚く。

そして、自分の頭をがしがしかいた。



「何で……。
あーもう、こういう時に言うのはズルイって分かっている?」



そんなこと言われても、私は知らない。

どうしても言いたくなったんだもん。



「どうなっても知らないから」


「え?あ、んっ」



急に義哉は激しく動き出す。

私は、それについていくので精一杯で、義哉しか見えなかった。

声も止まらない。

私は、そのうち意識を飛ばしてしまった。



その日以降、お母さんがいないのをいいことに、義哉は毎日求めてきた。

こんなんで、お母さんが帰ってきたあとはどうするのだろう。

頻繁に出張がある訳じゃないのに、我慢出来るのだろうか。

そんな心配をしてみるけど、私だって拒める訳じゃなかった。

本当はいつだってどこだって、触れて欲しかったのだから。



「やっぱり、早く家を出たい」




< 233 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop