願う場所、望む奇跡
「んっ……」
思わず声が漏れてしまう。
「ほら、まだ濡れている。触っていなかったのに」
「やっ、やだぁ……」
動く手を止めようと手を握るけど、それでも義哉の手は動き続ける。
「ちゃんと守るよ。この先ずっと。
だから、俺から離れないでね」
なぜか懇願するような表情で言われる。
そんなこと言われなくても、離れるつもりはない。
それだったら、好きだなんて言っていない。
こうやって求めたりもしない。
私は、全ての想いを込めて義哉に抱きついた。
それで、ちゃんと伝わったのだと思う。
少し体を離して顔を上げて、私の唇を奪ったから。
全てを奪うような激しいキスをしながら、義哉は私に跨る。
私も目を閉じて、それを受け入れる。
そのとたん、部屋の扉がバンッと勢いよく開いた。
驚いた私たちは、同時に扉の方を見る。