願う場所、望む奇跡
「夏希、服着よう」
いつの間にか義哉は落とされた服を拾い集め、着ていた。
とにかく言われた通り服を着ようとするけど、手が震えて下着のホックが留められない。
「大丈夫だよ。少しだけ、母さんに言う時が早くなっただけ」
私を安心させるように優しく言いながら、ホックを留めてくれた。
そして、Tシャツも上から被せられた。
なんとか着替えると、義哉に抱きしめられる。
それは、何よりも安心出来る温もりだ。
「俺がいるから。夏希は1人じゃないよ。どんなことを言われても、俺が隣にいるから。怖がらないで」
そうだ、さっきも確認したじゃない。
誰にどれだけ反対されても、私は義哉から離れないって。
「うん……頑張るよ。不安だけど、義哉と一緒なら大丈夫」
抱きしめ返して、ゆっくりと吐き出す。
「じゃあ、行こうか」