願う場所、望む奇跡
体を離して、手を差し出してきた。
私はその手を取り、握った。
それから、ごくりと喉を鳴らし、2人で部屋を出た。
バレてしまったものは、今更否定は出来ない。
なんせ、現場を見られているのだから。
さっき怒鳴られなかった分、リビングへ行ったら怒鳴られるかもしれない。
気持ち悪いとか言って、引き離されるかもしれない。
それよりも酷い言葉を言われるのかもしれない。
それでも、私は義哉の傍にいたい。
間違った道かもしれない。
だけど私は、これ以外の道はもう選べないんだ。
誰よりも義哉が好きで、それ以外は何もいらないから。
家族に理解してもらえないのは辛いけど、こればかりは仕方のないこと。
血の繋がった姉弟なのだから、許されることじゃない。
どういった結果になろうと、ここまで来てしまったらもう後戻りは出来ない。
真っ直ぐ前へ突き進むだけ。
深呼吸をして、覚悟を決める。
そして、お母さんの待つリビングへ2人で入った……。