願う場所、望む奇跡



体を離して、手を差し出してきた。

私はその手を取り、握った。

それから、ごくりと喉を鳴らし、2人で部屋を出た。


バレてしまったものは、今更否定は出来ない。

なんせ、現場を見られているのだから。


さっき怒鳴られなかった分、リビングへ行ったら怒鳴られるかもしれない。

気持ち悪いとか言って、引き離されるかもしれない。

それよりも酷い言葉を言われるのかもしれない。

それでも、私は義哉の傍にいたい。


間違った道かもしれない。

だけど私は、これ以外の道はもう選べないんだ。

誰よりも義哉が好きで、それ以外は何もいらないから。


家族に理解してもらえないのは辛いけど、こればかりは仕方のないこと。

血の繋がった姉弟なのだから、許されることじゃない。

どういった結果になろうと、ここまで来てしまったらもう後戻りは出来ない。

真っ直ぐ前へ突き進むだけ。


深呼吸をして、覚悟を決める。

そして、お母さんの待つリビングへ2人で入った……。




< 238 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop