願う場所、望む奇跡
イヤ、これからかもしれない。
そう思い直して姿勢を正すと、私の手に重ねている義哉の手に、ギュッと力がこもって握り締められた。
「言い訳はしません。俺は、夏希が好きです」
お母さんから目を逸らすことなく、きっぱり言い切る。
「それは、姉弟愛ではない?」
「違います。女性として、夏希が好きなんです」
はっきり言う言葉に、私が恥ずかしくなってしまう。
だけど、照れている場合ではない。
お母さんは、複雑そうな表情をしているのだ。
理解はされない、許されない、そう思った。
「許してもらおうなんて思っていません。親子の縁を切ってでも、夏希と一緒にいたい」
強い眼差しでそう言った義哉を見て、私もお母さんを見つめる。
お母さんと目が合った時、「あんたも?」と言われているような気がして、深く頷いた。
それを見たお母さんは、深く息を吐いたあと、驚くことを口にする。
「やっぱり、血は争えないわね……」