願う場所、望む奇跡
「夏希、1人で考えないで。私はもう全て話すから、何でも聞いて」
考え込んでしまった私に気づいて、お母さんが笑顔で言う。
「まぁでも、質問はあと。私が先に話すから」
そう言われて、とりあえずは黙って聞こうと思った。
「私の実家へ夏希が1度も行ったことがないのは当たり前よ。今では勘当、縁を切られているからね」
「それは……お兄さんを好きだってことがバレたから?」
「んー、バレたことはバレたの。私たちも、いわゆる両想いで内緒で付き合っていたから」
「え?そうなの?」
本当に、私たち姉弟と同じだ。
こんな偶然があるのだろうか。
「でもバレてしまって、私たちは引き離された。そして私は、無理やり好きでもない男と結婚させられた。
逃げることも出来ず、私は子供を身ごもった。好きでもない男に、無理やり犯されて」
「まさか、その子供が……」
「夏希ね」