願う場所、望む奇跡



はっきりと言った言葉に衝撃を受けた。

自分が望まれて生まれた訳じゃないってことに。

お母さんの表情から、今でも憎いことが見て取れる。



「あ、でも、夏希が嫌いな訳じゃないわ。嫌いなのは、両親とその男だけ。
むしろ、夏希の存在は私の唯一の癒しだったから。味方がいなかった私にとって、唯一の救いだったの」



優しく笑うお母さんに、涙が溢れてきた。

出生がどうであれ、私はお母さんに愛されていたことが嬉しかった。



「でもね、夏希が生まれてから男は浮気を繰り返した。私は、もう見て見ぬ振り。離婚でも何でもすればいいと思った。それでも、私を求めてくる。それで、義哉も出来た。
……悪いけど、2人は正真正銘、血は繋がっているから」



話しの中で、少しだけ希望を持った。

だけどやっぱり、そんな甘い訳がない。



「義哉を妊娠中、男は浮気じゃすまなくなり、女を作って出て行った。
両親に、あんたが悪いと散々罵倒された上、必死に男を連れ戻そうとしていた。
結局、それは意味もなく離婚が成立した。その後は、実家に監禁状態」


「監禁!?家から出れなかったの?どうしてそこまで」




< 244 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop