願う場所、望む奇跡
「イヤ、無理。母さんにバレた以上、我慢は出来ない」
ちょっと、義哉まで真面目に答えなくてもっ。
「なんだ。夏希の方が惚れてんのかと思ったら、義哉のほうがベタ惚れなんだ」
呆れたようにお母さんが言う。
え、そう見えるの?
私の方が好きなんだと思ったけど。
「当たり前でしょ。俺の方が片思い期間、長いんだから」
「えっ?そうなの?ちょっと、その辺のこと聞きたいんだけどー」
なぜか、子供の恋愛事情に興味津々のお母さん。
それに、照れもせず普通に答える義哉。
聞いているこっちが照れてしまう。
それでも、こんな光景が見れるとは思わなかった。
私は、怒られること、縁を切られることを覚悟していた。
まさか、お母さんも同じことをしているとは思わなかったから。
同じ想いをしている分、反対されるかもと思った。
だけど、認めてくれた。味方でいてくれると言った。
こんな嬉しいことはないと思う。
これから先、幸せなことより辛いことの方が多いと思う。
だけど、お母さんに少なくとも悠弥くんが味方でいてくれる。
もう、1人で悩まなくていいんだ。
これから先も、ずっと大好きな人と歩いていけるんだ。