願う場所、望む奇跡
*心行くまで君を愛そう
お母さんには、許可をもらった。
会社も、義哉の卒業と同じ頃に辞めることが内密だけど決まった。
着々と、ここを出て行く準備は出来ている。
だけど、私にはもう一つやらなければいけないことがあった。
それを、どうやって話し出そうか悩んでいるのだ。
「夏希、眉間にしわ寄っている」
「えっ、嘘っ」
義哉にそう言われて、思わず眉間を隠す。
「こんなことしている時に、他のことを考える余裕あるんだ?」
不満そうにもらす義哉は、ただいま、裸で私を組み敷いている。
「イヤ、余裕はないです……」
相変わらず、私は慣れない。
イヤ、それよりもお母さんに認めてもらったけど、毎日の様に来すぎだよ?
お母さんとの話し以降、家中で私に構ってくる。
それは、お母さんの前でも変わらず堂々と。
お母さんはもう、見て見ぬ振りで呆れている。