願う場所、望む奇跡
夜も、必ず私の部屋に来て私を抱いて寝るのが日課になっている。
遠慮は一切ない。
「じゃあ、何を考えているの?」
眉間を隠す手をどけて、そこに優しく口づける。
それが恥ずかしくて顔を隠そうと横を向くけど、それさえもすぐに戻される。
「何、俺に言えないこと?」
「違う、違うっ。そんな訳ないから」
不機嫌そうに言う義哉に、慌てて否定した。
「じゃあ、何?」
「……実はまだ、莉亜に言ってなくて」
つい、声が小さくなってしまう。
義哉と付き合うようになってから、ちゃんと言おうと思っているのに、なかなか言えない。
会社も辞めることが決まったんだから、莉亜に話さないと怒られるのに。
「あー、なんかそんな気がした」
「え?知っていたの?」
「悠弥がそんなこと言っていたから」