願う場所、望む奇跡
「何よっ。ああ言えばこう言う。オバサンって理屈っぽくてイヤっ」
「そんな人に話しかけてきたのはあなたでしょう?」
語気を荒げて言う彼女を、軽くあしらう。
このぐらいの知識は身につけた。
社内の若い子たちをあしらっていくうちに自然と身についた。
だけど、高校生はこれっきりにして欲しい。
真っ直ぐすぎて疲れる。
それに、関係を知らない分、ライバル意識で来るんだ。
「とにかく、義哉くんに付きまとわないでっ」
「付きまとっていないし、彼女でもないあなたの許可が何で必要なの?」
「いちいち口答えしないでっ。痛い目見なきゃ分かんないの?」
口では勝てないと思ったのか、手を振り上げた。
最終的には暴力に頼るしかないらしい。
その姿に、私はため息を吐く。
こんな姿、醜いモノなのに。
それが分からないのかな。
そう思いながら、目を閉じるでもなくただ彼女を見ていた。
だけど、振り上げた彼女の手が私に命中することはなかった。
急に第3者の腕が視界に入って、彼女を止めたのだ。