願う場所、望む奇跡
「公表したところで、次は情報収集のために来るんじゃないのか?」
「あ、莉亜がそんなこと言っていた。会社では凄いって。まぁ、莉亜も同じだけど」
いつの間にか、私と莉亜は社内でランチが出来なくなっていた。
ランチの時に、ここぞとばかりに人が寄って来るんだ。
それから逃げるために、外で取るようになった。
「とにかく、俺は公表したくない」
「何で、そんな頑なに言うんだ?」
悠弥くんが不思議そうに聞くけど、義哉は何も答えない。
だけど、気のせいだろうか。
私の肩を掴んでいる手に、少しだけ力が入った気がした。
「……まぁ、いいや。会社のことは莉亜もいるし、なんとかなるでしょ。家でのことは、義哉が全て引き受けるんだろうし」
「莉亜さんにも迷惑かけるな」
「オレの姉だし、仕方ないことだよ。むしろ、莉亜はおもしろがっている」
悠弥くんの言葉に、確かにと思ってしまった。
毎日の様に、聞かれたことを楽しそうに報告してくる。