願う場所、望む奇跡
13年ぶりに逢うからか、義哉は少し遠慮がちに話している。
私はと言うと、あのあとも全然話せなかった。
顔も目も合わせられなくて、相槌を打つので精一杯だった。
あんなイケメンが弟だとは、今でも信じられないんだ。
一通り片づけも終わると、母親が話し出した。
「義哉、これからどうするの?」
「まだ、何も決めていません」
何やら、母親は深刻な話しをしそうだった。
「あなたまだ、高校生よね?」
母親の言葉に、義哉は頷く。
「だったら、うちで暮らせばいいわ」
そんなことを言い出した母親に、私は驚いた。
元々家族なのだから、驚く必要なんてどこにもないんだけど。
「いいんですか?」
「もちろんよ。家族なんだから遠慮することないわ」
嬉しそうな表情で義哉も母親も話している。
私は、そこの中には入れなかった。