願う場所、望む奇跡
「今井さん、ちょっといい?」
その声に、ふと我に返った。
仕事の合間に莉亜と話していたこと、すっかり忘れていた。
急いで頭の中を仕事モードに切り替えて、呼ばれた方に向かう。
声の主は、松本くんだった。
「どうしたの?」
「ごめん、コレ今日中なんだわ。処理しといてくれる?」
書類と共に、そんなことを言われた。
「分かった、了解」
「ボーっとしていたけど、なんかあった?」
急にそんなことを言われて驚いた。
それに、仕事に集中していなかったことがバレているっ。
「ごめんっ。特に何もないんだけど」
「弟のこと?」
松本くんって、よく人のことを見ているよなと思う。
それとも、私の周りが騒がしいせいなのか。