願う場所、望む奇跡
「うーん……。松本くんって、姉の存在が恥ずかしいとかあるの?」
「え?姉貴?」
松本くんにもお姉さんがいるって聞いたことがある。
だから、男の意見を聞いてみようと思った。
「俺の場合、10歳離れているしなぁ。高校の時はもう、人妻だったし」
「お姉さんとそんなに離れているんだ」
「間に兄貴いるし。だから、恥ずかしいとかなかったけど、同級生がそんなこと言っていたなぁ」
松本くんが思い出すように言った。
やっぱり、そういう気持ちってあるんだ。
「で、何?嫌いとでも言われたの?」
その言葉に、ズキッと胸が痛んだ。
別に、そう言われた訳じゃないのに。
「高校生って難しい年頃だから。あまり気にしない方がいいよ」
「う、うん、そうだね」
曖昧に返して、仕事に戻った。
本当の理由なんて、義哉に聞かない限り分からない。
たいしたことじゃないのかもしれないし。