願う場所、望む奇跡
『先パーイ?』
黙り込んだ私に、莉亜が明るく呼びかける。
「……ごめん、1回切るね」
『え?ちょっと、夏希先輩?』
莉亜がまだ何か言っているのに、有無言わせずに切った。
なんとか平常心を保って言ったけど、冷静でいられる訳がない。
私は、気づいてはいけないモノに気づいてしまった。
上司だから、先輩だから、先生だから……
そういった類ではないのだ。
従姉弟ならまだしも、離れていたとはいえ確実に血の繋がりがあるのだ。
禁断の恋――――――
私は、それに足を踏み入れてしまったのだ。