願う場所、望む奇跡
「え?な、何で……」
目の前で何が起きているのか分からない。
混乱する私をよそに、義哉はにっこり笑って言う。
「今日からお世話になります」
「え?今日から?」
「はい。今日からです」
再度、にっこり笑って言う義哉をよそに、私は急いで靴を脱いでダッシュでダイニングまで行った。
そこでは、母親が鼻歌混じりに上機嫌で料理を作っていた。
「お母さん!今日からなんて聞いていないよっ」
楽しそうな空気をぶち壊し、母親に抗議する。
そんな私に、悪びれた様子もなく母親は返す。
「あら、言ってなかったかしら?まぁ、いいじゃないの」
そんな母親を見て、絶対わざとだと思った。
私に言ったら、文句の一つや二つ、ぐだぐだと言われると思ったからわざと言わなかったんだ。
子供みたいな母親に呆れつつも、もう来てしまったものは仕方ない。
今更何を言っても通らないんだから。
私は、おとなしくしているしかないんだ。