願う場所、望む奇跡
「結局、こないだ折り返しの電話がなかったし、細かいミス連発しているし」
直球で聞いてくるけど、私は何も言えない。
いくら莉亜でも、話せないんだ。
「そもそも、誰を好きになったんですか?」
今、1番聞かれたくない質問だ。
そんなこと聞かれて、すぐに答えられる訳がない。
だって相手は、絶対に好きになってはいけない人だから。
「えっと……好きな人については聞かないで欲しいです」
「えーどうしてですか?初めての恋バナなのにぃ。めっちゃ聞きたいんですけどっ」
そんなに目をキラキラされても、言えないモノは言えない。
普通なら、恋愛経験豊富な莉亜に相談するところだ。
相手を知っている分、話しもしやすい。
それが、弟じゃなければ。
「ごめん、本当にごめん」
「え?やだなぁ。そんなに真剣に謝らないでください。残念ですけど、今は聞きません。無理して聞きたくないですから。夏希先輩から話してくれるのを待ちます」