願う場所、望む奇跡
私の暗い声とは違い、笑顔で明るく言った。
その明るさに少しだけ救われる。
だけど、話す日なんて永遠に来ない。
他の人を好きになれば別だけど、23年間好きな人が出来なかった私は、他の人を好きになるとは思えない。
それでも、他に目を向けるしかない。
この想いが成就する時はないのだから。
誰にでも話せる人を。
それから莉亜は、何一つ聞いてこなかった。
ただ、私にミスが多いことだけを心配してきた。
最近は、義哉のことも話していない。
話題から避けているんだ。
他の子に捕まって義哉の話しを振られても無視していた。
今までとは明らかに違う対応。
そう思ってはいるけど、冷静に何もなく話せる自信はなかった。
「ちょっと休憩したら?」
その言葉と同時にデスクの上に置かれたのは、缶コーヒーだった。
そして、それを置いたのは同期である松本くんだった。
「朝から根詰め過ぎだよ」
それには、苦笑いを返すしかない。