願う場所、望む奇跡
確かに、本当の理由ではあるのだけど、女の子たちはたまに私が知らない情報を出してくる。
どこから仕入れるのか分からないけど、実際ムカついたんだ。
だから、余計なことを聞かないように無視しようと思った。
何度も聞いてしまえば、嫉妬心が表に出て来てしまいそうだから。
「今井さん。眉間にしわが寄っているよ」
どうやら考えているうちに、無意識で寄ってしまったらしい。
言われて気づいて、すぐに眉間を指で押さえる。
「なんかあったら相談乗るよ。同期だし、一応年上だからね」
そう言って、松本くんは仕事に戻って行った。
莉亜にも松本くんにも心配をかけている。
しっかりしなくちゃ。
今更、気づいてしまったモノをなかったことには出来ない。
他に好きな人が出来ない以上、ゆっくりにでもこの気持ちを消化させないと。
莉亜や松本くんはもちろん、本人である義哉にもバレてはいけない。
そう心では思っているのだけれど、義哉を目の前にするとどうしても普通ではいられない。
「夏希っ」
車を駐車場に停めて降りたところで呼ばれた。