願う場所、望む奇跡
次の日の朝、どんな顔して逢えばいいのかと色々考えた。
考えたにもかかわらず、当の本人は至って普通だった。
昨日何もなかったように、恥ずかしいことなんてなかったかのように。
結局何かをした訳じゃないけど、平然とされてなんとなくショックだった。
何も変わらない義哉に、勝手にショックを受けた。
呼び方だけは変わって驚いたけど。
「夏希、早く家に入ろう?外、暑い」
真夏は通り過ぎたこの頃だけど、未だに30度超えることも珍しくない。
少しでも外にいれば汗が出て来るぐらい。
急かす義哉は、急に私の手を握った。
驚いて義哉の顔を見るけど、どこ吹く風。
顔色一つ変えない。
おそらく、私の顔は真っ赤なのに悔しい。
そんなことを思いながらも、義哉に引かれるまま家に入った。
そんな2人の姿を見られていたことに、私も義哉も気づいていなかった。