願う場所、望む奇跡
「さて、弟が好きって正気?」
そんなことを聞かれた。
バレてしまったものを今更隠すつもりはないけど、正気と聞かれるとショックだ。
「だって、実の弟でしょ?姉弟だよね?実は、血は繋がっていませんとかじゃないよね?」
それだったらどんなに嬉しいか。
だけど、どんなに願っても実の弟に違いはない。
言葉が出ない変わりに、首を縦に振る。
「だったら何で……って、好きになったものは仕方ないのか。
好きになったのが、たまたま弟だっただけで」
まさか、そういう風に言われるとは思っていなくて驚いた。
正気と聞くぐらいだから、罵倒でもされるのかと思ったのに。
「ただ、信じたくないな。イヤ、許せないのかな」
「許せないって……?」
信じたくないとか許せないとか、意味が分からない。
「俺は、今井さんが好きだから。弟が好きとか許せない」
「え……?」