願う場所、望む奇跡
「やっと分かった?俺は、今井さんが好きだって言ったじゃん」
「あ……っ!」
いつの間にか、ブラウスのボタンは全部外れて、胸があらわになっていた。
そして、松本くんがゆっくり揉み始める。
恋愛をしたことがない私は、もちろんこんなことも初めてだ。
知識はあっても、実体験なんてない。
そもそも、好きな訳ではない人とするのがいいことなのだろうか。
「大丈夫だよ。弟くんを忘れるほど、俺が愛してあげるから。このまま、身を委ねて」
身を委ねる。
義哉にもそう言われた気がする。
でもあれは、家族としての言葉。
ここまでの深い意味なんてないだろう。
この先、誰にも言えない想い。
今でさえ悩んでミスを犯しているのに、次は何を犯すか分からない。
本人に言って軽蔑されるのも嫌だ。
だったら、このまま松本くんに身を委ねた方がいいのかもしれない。
一緒にいるうちに、本当に好きになるかもしれないし。
いつの間にか、片手は動くようになっていた。
その手をそっと松本くんの頭の上に置く。