願う場所、望む奇跡
胸に顔を埋めていた松本くんは、不思議そうに私を見る。
「……忘れさせて。でも、初めてだから……」
「最後まではしないよ。俺のこと好きになった、その時にもらうから」
優しく笑ってそう言うと、少しずつ服をはだけさせ、体中を愛撫した。
初めてのことに戸惑いながらも、甘い声が止まらない。
「その声、煽っているとしか思えないけど」
苦笑いと共にそんなこと言われても、声は止まらない。
松本くんの手も唇も止まらない。
体中を触れられながら、私は静かに涙を流した。
結局、イかせるだけイかせて、本当に最後まではしなかった。
「無理にはしたくないし。とは言っても、理性との戦いだけどね」
やっぱり、松本くんは優しいと思う。
ここまでの過程は無理やりだったけど、最後の最後まで感じる優しさ。
私は、ゆっくりと松本くんを好きになればいい。
いつかきっと、忘れられるから。