願う場所、望む奇跡
*傷だらけの心-義哉side-
夏希と再会したのは、18歳の夏、今から約2ヶ月前のことだ。
13年も逢っていなかったせいで、夏希は俺のことが分からなかった。
少なからず、ショックは受けた。
でも、幼い時から13年では分からない方が普通なのかもしれない。
それでも俺は、夏希を知っていた。
両親が離婚した時は、まだ5歳だった。
おぼろげに姉がいたことを覚えていた。
ただ、父と母、父と姉が逢っている気配はなかった。
だから、父に姉のことを聞くことが出来なかった。
どこに住んでいるのか分からなかった。
だけど、別に姉がいなくて不満がある訳じゃない。
理由がなんにしろ、離婚した両親が逢わないのは普通のことだ。
そんなことを思っている、変に理解のある子供だった。
中学に入った頃、父宛に差出人不明の手紙が届くようになった。
携帯がある時代に手紙は珍しいなと思った。
だから、余計に気になった。
それも、1週間に1度、必ず届くものだから。