願う場所、望む奇跡
2時間ぐらいが経った時、駐車場の方から見たことがある人が歩いてきた。
それが、母親だった。
微かに覚えている。
あの頃から変わっていない。
じゃあ、隣にいるのが姉になるんだ。
ドキドキしながら2人を見ていた。
不意に、姉が顔を上げて目が合ったような気がした。
その瞬間、時が止まった気がした。
「可愛い」
そう呟いて、抱きしめたい衝動に駆られた。
イヤ、離れていても姉に違いはない。
そんな訳がないんだ。
落ち着こう。
それでもその日から、頭から離れなくなった。
毎週は無理だけど、行ける時には行って眺めていた。
一歩間違えばストーカーだと思うけど。
そんなことをしていたから、俺は夏希を知っていたんだ。