願う場所、望む奇跡
逆に私は、23年生きてきて付き合った人はいない。
そもそも、好きになったことだってない。
つまり、23歳にもなって初恋がまだなのだ。
「そんなにモテるなら、彼女は?いないの?」
狙っている人がたくさんいるなら、告白だってそれなりにされているはず。
その中には、お似合いの可愛い子だっていただろう。
だったら、付き合った子だっているだろうし、好きになった子だっているはずだ。
「それが、いないらしいですよ」
莉亜が顔を近づけて、小声で言ってきた。
「何でも、義哉くんの恋愛は謎に包まれているんですよ。その中で、彼女がいないことだけは確かなんです」
「そこだけ公表しているの?」
「そうみたいです。いないけど、告白は全て断っていますよ」
「え?何で?」
彼女がいないんだったら、とりあえず付き合ってみるとかでもいいんじゃないのかな。