願う場所、望む奇跡
口元は笑っているのに、目は氷のように冷たい。
言い合っていた女たちの背筋が震えた。
そして、何も言わず逃げていく。
やはり、悠弥を敵に回すことはしないらしい。
「川島遥って、勘違いもいいとこだな」
呆れたような笑いをしている。
学校ではいつものこと。
俺の目の前で女が言い合って、取り合って。
俺は、誰も相手にしないと言っているのに聞かない。
正直、めんどくさい。
早く卒業して、こんなヤツらと離れたい。
就職して、稼いで、自由になりたい。
就職する目的は、夏希を養うため。
想いを伝えることをしないのは今だけ。
社会人になってある程度稼いだら伝えようと思っていた。
だけど、それも出来なくなりそうだ。
今、夏希には彼氏が出来た。
ムカつくけど、幸せそうだ。
それを壊すことは出来ない。
頭では分かっているけど、簡単に割り切ることは出来ない。