願う場所、望む奇跡
「義哉、夏希さんって彼氏出来たの?」
休日、悠弥と出かけているとそんなことを言ってきた。
「何で?」
「この前、男と2人で歩いているの見たから」
それを聞いたとたん、歯を食いしばる。
想像したくもないし、見たくもない。
今日だって、朝から出て行った。
「義哉……顔が怖い」
学校ではいつものことだと思うけど、悠弥が言うのだからそれ以上に怖いのだろう。
「オレさ、こないだから思っていたことがあるんだけど」
そう言って、俺に真剣な眼差しを向ける。
少し嫌な予感がしたけど、何も言わずに聞くことにした。
「義哉って、夏希さんのこと好きなの?」
「……ストレートすぎるな」
やっぱり分かっていたのか。
夏希が彼氏出来てから、夏希の話しは減ったし、イラついていた。