願う場所、望む奇跡
「遠回しに言っても意味ないし。
まぁ、オレが夏希さんに初めて逢った時からそんな気はしていたけどね」
「は?そんなに前から?」
驚いた。
気づかれたのは、つい最近のことだと思っていた。
「夏希さんを姉だと公表したくないって拒んでいたし。学校とのギャップだな。
たぶん、義哉が思っている以上に夏希さんの前と学校では違う」
悠弥にきっぱり言われた。
違うことは自覚している。
わざとだから。
だけど、思っている以上にってどうなんだろう。
まぁ、悠弥が言っていることだからそうなんだろうけど。
「よく見ているな」
「分かりやすいんだよ。オレから見れば」
たぶん、他のヤツから見ても気づかないだろう。
分かるのは、中学から親友でいる悠弥だけなんだろう。
「最近のイラついている理由が分かんなかったけど、夏希さんが男といるのを見てこれだなって思った訳」
「さすが悠弥だな」