願う場所、望む奇跡



「いつ、義哉が言ってくれるか待っていたんだけどね」



ふてくされたように、口をとがらす。



「悪かったな。簡単に言えるもんでもねぇし」


「それもそうか。義理じゃ、ないよね?」


「離れていた期間はあるけど、血は繋がっている」



おかしな部分はあるけど、正真正銘血は繋がっている。

現実を見ない訳にはいかない。



「オレが莉亜を好きになるってことか。
……まぁ、ありえなくないか」


「は?そうなの?」



まさかの発言に、俺が驚いた。



「1番の理解者ではあるし、もしかしたらあったかも。
それでも、莉亜は恋多き女だったし、そうはならなかったけど」



真剣な答えが返ってきて、俺が面食らった。

軽蔑されかねない事実なのに、真剣に自分に置き換えて言ってくるとは思わなかった。



「だから、別に何も思わない。相手が実の姉だろうが、好きなもんはしょうがない。誰かに色々言われてやめるんなら本気じゃないってことだし」




< 94 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop