願う場所、望む奇跡
「考えが大人だな」
「莉亜に色々教えられているからね」
にっこり笑って、何でもないかのように言う。
それが、凄く安心するんだ。
「ありがとな」
呟くようにお礼を言うと、また満面の笑みになる。
「困ったら頼れよ。愚痴でも聞くから。
学校の連中はいいけど、夏希さんにあたるなよ」
それには、苦笑いするしかない。
頭では分かっていても、イラつくんだ。
自分の気持ちを伝えることもしないくせに。
だけど、分かってくれるヤツがいた。
おそらく、悠弥だけだ。
それでいいんだ。
誰もに理解を得ようとは思わない。
何を言われても、夏希が好きなことに変わりはないから。