願う場所、望む奇跡
松本くんと付き合っていることを知られてから、余計に顔を合わせずらくなった。
お母さんは大喜びしていたけど、義哉の目は冷たかったから。
だけど、そんなことを考える暇さえ与えないぐらいに、松本くんは優しく、そして楽しかった。
最初に宣言した通り、最後まではしなかった。
というより、そういうことさえしなかった。
抱きしめることやキスすることはあっても。
それ以上は、ヤりたくなるからと言って、一切手を出さなかった。
それでも、しっかりとキスマークをつけるところは抜け目がないけど。
「夏希は映画って観る?」
「あんまり観に行かないな。あとで借りることの方が多い」
「俺も最近は観に行かなくなったな。昔はよく、アクション系観ていたけど」
「私も、観るとしてもアクションが多いよ。恋愛はよく分かんなくて」
他愛もない話しから、彼の趣味や好きなことを知る。
同期だって言っても、プライベートの話しはしてこなかったから、知らないことの方が多い。
「夏希がアクション系観るなら大丈夫。面白そうなのやっているんだ」
そうやって笑う姿は、仕事の時にはあまり見れない姿。
こうやって、プライベートの姿を少しずつ知って、人は人を好きになっていくんだろう。