俺様男子と無口な男子、キミならどちらを選びます?





「ちっ!…てめぇから喧嘩売って来たんだろうが」



…うん。まぁその通りだね…



激おこプンプン丸なクウをよそに、アンちゃんは私の方を向いて、手を差し出してきた。



「ハルちゃん…行こ…」



「え…」



私の手を掴み、走り出したアンちゃん。






━━その手は華奢だけど、しっかり男の子で…



━━そして、アンちゃんが好きな私には実に嬉しい瞬間で…






私はこんな状況だというのに、浮かれていた。



だから、気付かなかった。



走り去っていく私達の後ろで、クウが幼なじみの私ですら一度しか見たことのない表情をしていたことを。



私だけじゃない。



集まっていた人、全員が気付かなかっただろう。



ただ一人を除いては。




< 14 / 100 >

この作品をシェア

pagetop