私だけの王子様
黒髪で、少し青がかった目に高身長で清潔そうな顔立ち。肘までまくったカーディガンの裾から見える腕は男の子っぽくて、私の目はその人から離れず夢中になっていた。




「え、ちょっアズ! 見てあの子、自販機前、白カーディガン!」




「何、また王子様?」




「うひょー! 超かっこいい! 黒髪! 美形! 見ておけ見ておけ」




バチッ



その時、一瞬だけど黒髪くんと目が合ったような気がした。




「うわ、目合った! すごい! 嬉しい!」




「気のせいじゃない…?」




気のせい…うん、気のせいでもいい。それでも私は、確かに運命を感じたんだ。




< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop