明日
消えた明日
「また明日」
あの日確かに君は
そう言ったんだ。
────
どこまでも青い空が
いつか世界もろとも吸い込みそうで
照りつける太陽が
平凡な日常を溶かしそうで

僕は夏が嫌いだった

「健太ー!!」

聞きなれた声にはっと我に返る

「海咲…」

「なんだよー!!朝から生ぬるーい声だしてー今日は6時から夏祭りだぞー!!起きろー!!」

あぁ今日は夏祭りかぁ
そんなことを考えながら照りつけるアスファルトの上をゆらゆらと歩く
夏休みに入ってから毎日の恒例行事と言えるラジオ体操をするため、朝の弱い僕をいつも海咲は迎えに来てくれた。

「はぁ…今日も暑いなぁ」

そんなことをぼやきながら道を進む
もうこのままいっそ溶けてしまえばいいのに…

「なぁにおじいちゃんみたいなこと言ってんの!!夏なんだから暑いのは当たり前でしょーが!!」

きっと海咲は夏がピッタリの人だと思う。
例えるなら世界を溶かす力を持つ太陽だろう。海咲の周りにはいつもみんながいる。光を乞う植物のように
そんなみんなを海咲は温かく見守り、笑い、僕みたいなもやしだって仲良くしてくれる。
海咲は太陽なのだ。

「ほーら!!何考えてるの!!行くよっ!!」

ほら、また僕は溶かされてく
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