【続】想われたくて…―Side story―
―――数分後。


「……ありがとうございました!!本当に助かりました。」


電話を終えた彼女は、深々とお辞儀をしながら、そう言った。



そんな礼儀正しくされたら、こっちまで……


「いえいえ、とんでもないです。お役に立てて良かった。」


俺は仕事中かの様な敬語を使い、同じ様に頭を下げた。



……

………


…………


お互いお辞儀をしたまま、沈黙……。


何やってんだ、俺達。


なんだか可笑しさが込み上げて


そっと顔を上げた。


すると、彼女も顔を上げた。


ふと目が合い……


「……ぷっ!」

「……ふふっ」



同時に笑った。



「へへっ♪面白い方ですね!

あの、お名前伺っても?」

笑顔で言う彼女は、更にカワイイ。


「……もちろん。安藤圭介だよ!」


俺からも、自然と笑みが零れる。


「君は?」


俺の問いに、照れた様に微笑んで


彼女は……



「……あたしは、実来です。木村実来!」



そう答えたんだ。



< 23 / 64 >

この作品をシェア

pagetop