幽霊なキミ。

直人はその夜、私の隣で寝てくれた。




最初に隣で寝られた時は、あんなにも恥ずかしくて、腹立たしかったのに。





……恥ずかしいのは、変わらないけど、






「ねぇ」


「なに?」


「なんで、般若心経言えるの?」


「……いつか椿ちゃんの役に立つと思ったんだ。それで覚えた。」


「何それ馬鹿じゃないの……。」


「役に立ったね。」


「……ほんとね。」


私が小さい声で、ありがとうと言うと、直人はフフっと笑って私の手を握った。



私はその手の暖かさを感じながら、幸せな気持ちで眠った。



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