幽霊なキミ。
朝食を終え、ローファーを履いて玄関を出ようとしたとき、



「椿、ちょっと。」



お父さんに呼び止められた。




「なに?お父さん。」


私は振り返る。


一緒にナオトも振り返る。



    
「その、連れてる幽霊。」



お父さんはナオトを指さした。



ナオトはえ、俺?と自分を指さす。




「見えてたの?」



私は冷たく聞いた。



「お前の父さんだ。見えてるに決まってるだろう。」



「じゃあ何か言ってよこのストーカーに。」



「ストーカー!?どこに!?俺が退散してやる!」




あんたよ、と叩こうとしてもスカスカと通り抜ける。




お父さんはその様子をヤレヤレ、と見たあと



「それ、生霊だからあんまり関わるなよ。戻れなくなるぞ。」




「え、それはどうゆう……。」




「じゃ、いってらっしゃい。」




お父さんは質問に答えずさっさと家の奥に入っていっしまった。
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