幽霊なキミ。
視線だけをそちらへもっていく。



もちろんそれはナオトだった。




(なに隣でちゃっかり寝てるのよ……!!)




そうは思ったものの、落ち武者へ啖呵を切ったナオトが少し心配だった。





何故かパジャマ姿になってるナオトはそのまま立ち上がり、落ち武者にもう一度言った。




「椿ちゃんを困らせるな。」





ナオトはもう一度言った。





それは昼間のニコニコヘラヘラしたナオトからは考えられないくらい冷たくて重みのある声だった。



私は声が出ないので、ひたすら心の中で般若心経を唱えていた。



(ナオト……それ手強いから無茶しないで……!)
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