幽霊なキミ。
(はぁ……。)
声は出ないので心の中でため息をついた。
お寺を継ぐ気なんかサラサラない私には迷惑な話。
部屋を見回すと
部屋の隅で、黒髪の女の子が体育座りで髪の毛で顔を隠してしくしく泣いている。
目の前の空中には落ち武者みたいなのが
「許さぬ…許さぬ…」
と呟きながらフォンフォン飛んでいる。
何年ものなのよアンタはと言いたい。
その近くを青い火の玉のようなものが
パキッ
というラップ音で現れて、少し漂うと
パキッと
再び鳴って消える…を繰り返している。
すごくウザイ。
ドアの近くにはどう見ても幽霊です、と言った感じの女の人が
「悔しい…悔しい…」
と恨めしそうにこちらを睨んでいる。
いさぎよくうらめしやって言ったらどうなのよ。
(もぅ!!!)
私は、金縛り特有の低い大きな耳鳴りを聞きながら、軽く目を閉じて、声は出ないので心の中で般若心経を唱えた。