幽霊なキミ。
しかしナオトは、朝ごはんが終わっても、家を出る頃になっても現れなかった。




(どうしたんだろう……)




そう思いながら家を出ようとした時、またお父さんに声をかけられた。



「椿、ちょっと。」




「何、お父さん。」




「昨日の生霊が色男だったから忠告するが、生霊は自分の体に戻った時、生霊だった時の記憶がなくなるんだ。

逆に、生霊の時、生きてる時の記憶は無くなる。」





「へぇ、そうなの!

でもそれ、色男であることに関係あるの?」



「なに、椿が、"生きてるなら…"と、惚れちゃったら、かわいそうだなと思って。」




お父さんはすごく哀れんだ顔で言った。




「よ、余計なお世話よ!行ってきます!!!」




私はなんだかくすぐられたような変な気持ちになって、急いで家を出た。




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