幽霊なキミ。
私は、お経を読めないと同時に、病院にも確かめに行けていなかった。





もし、ナオトが本当に死んでしまっていたら。






それは、とってもショックだ。





この幽霊ナオトがずっとここにいるとしても、ナオトが元の生活に戻れないなんて、ひどすぎる。




こんな若さで死んでしまうなんて、ひどすぎる。









でも。




ナオトか死んでしまっているとして……




ずっとそばにいてくれるとしたら。





それは、不謹慎だけど、私には幸せなことに思えた。






丑三つ時に、金縛りに合わないで、怖い思いもしないで、オセロなんかやって、楽しく過ごすことができる。





ナオトと過ごす時間は、怒ってることの方が多い気がするけど、それでも、楽しい。







……自分勝手だと、思う。





ナオトの死を願ってる訳じゃない。




だけど、ナオトにそばにいて欲しい。









……矛盾してる。





……病院に行けばきっと答えがあるはずなのに、私は答えを見るのが怖かった。






私が、行かなければ答えは出ないはずだった。






楽しい時間を崩したくなくて、私は答えを先送りにしていた。

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