幽霊なキミ。
だけど、



「ごめんね椿ちゃん。嘘なんかつかせちゃって。」





ナオトはあまりに優しくそう言うから。





私は、嗚咽を漏らして泣いてしまった。






ナオトはそんな私を、愛おしそうに眺めた。




「ごめんね、椿ちゃん。早く気づけば良かった。」




優しく、ナオトは私の頭を撫でる素振りをする。




気づかなくて、良かったのに。



そうじゃなきゃ、意味が無いのに。



私は泣きながら頭を横に振った。



< 63 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop