幽霊なキミ。
「……明日、東京に行くの。」
「東京?なんで?」
「神崎直人くんは、今東京の病院にいるんだって。」
「……俺に会いに行ってくれるの?」
ナオトは目を見開いていた。
私がこくりと頷くと、その顔は驚きから喜びへと変わって言った。
「ありがとう……!」
ナオトは私の手をとろうとしたけど、それは空をつかむばかりで、私には触れられなかった。
とても切なくなる。
「私は明日の為に、出来るだけナオトをここから遠ざけたかったの……。」
うつむいて心のうちを打ち明ける。
スッと、視界が暗くなった。
ナオトがまた、抱きしめてくれようとしたのだ。
私も、おずおずと、その透けた背中へと腕を回した。