幽霊なキミ。
「……あんたがあの苦しい丑三つ時にいてくれるのは本当に嬉しい。


だけど、あんたを縛り付けてまですることじゃないわ。



目先の幸せに捕らわれてたら、私の方が悪霊みたいじゃない?」




自嘲的にナオトに笑いかけるけど、ナオトは静かな顔で眠っている。




「だから、ナオト。



体に戻って。




……私を忘れても、」




そこまで言って涙がこぼれてしまった。



感情をぐっと押し込んで続ける。





「……私を忘れても、生きて。



それが、私の幸せよ。」




静かに告げて、その寝顔に顔を寄せて優しくキスをした。



「……大好きよ。


ナオト。」
< 77 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop