幽霊なキミ。
十一、がんばるわ
東京から帰ってきた夜。
いつもの時間に、ナオトは現れなかった。
変わりに、落ち武者が当たり前のように出てきたんだけど
金縛りに耐えながらお経を唱えてるうちに、いつの間にか寝ちゃったみたい。
目覚ましの音と、チュンチュンという鳥の声。
寝た気は全然しなかった。体はだるくて、布団から出たくない。
けど。
ナオトが現れなかった事実。
それは私に満足感をもたらした。
ナオト。
きっと今頃、東京のあのベッドの上で、訳も分からず目を覚ましてることでしょうね。
そう思うと、頬が緩んで、自然と笑顔になる。
よかったわね。
ナオト。