幽霊なキミ。

1ヶ月ほどたって。




私は今のままじゃ、本当にとり殺されてしまう気すらしてきた。




このままでは、まずい。




私は大丈夫だって、ナオトに自分から言ったんだから。





お寺を継ぎたくないとか言ってる場合じゃない。



(多分女子は継げないから、継ぐのはお婿さんだろうけど……)






「お父さん……」




私はお寺の御本尊様の前で手を合わせているお父さん声をかけた。






お父さんはゆっくり振り向いた。




「どうした椿。」





「……お寺のこと、手伝ってもいいわよ。」





お願いする立場なのについ上からになってしまった。




だけどお父さんはパアッと顔を輝かせた。

 

「……仏門への道は厳しいぞ。努力するように。」 





……素直じゃないところはお父さんに似ちゃったのかしら。




私は心の中で笑いながら、

お父さんの少し後ろに座って、御本尊様を拝みながら般若心経を唱えた。
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