幽霊なキミ。
「……15になったら、すぐ返そうと思ってたんだ。」



直人はポツポツと話始めた。



「椿ちゃんのことは、覚えてた。記憶の中ではずっと、あの時のまんまだったけど……

ずっと、覚えてた。」



真剣な直人の顔。



ごめん、私は忘れてたよ……。




直人は続ける。





「けど、東京に引っ越しちゃったから、すぐには来れなかったんだ……

だから俺は、少しずつお金を貯めてね、原付の免許をとった。

原付は友達のお兄さんから譲ってもらったんだ。


それで、ここまで来たんだよ。」




「……東京からここまで原付で来たの?」




頷く直人。



「馬鹿じゃないの!?」




「旅がしたかったってのもあるんだけどね。」



そう言って苦笑いした。




「それで、もう少しで椿ちゃんちだ!!って所で思いっきり転んでね、意識を無くしちゃったって訳。」



直人は肩をすくめて見せた。




え、ちょっと待って……

それって……



「私に会うために、ここまで来てくれてたってこと……?」



「だからそう言ってるじゃん!」


直人は笑った。
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