幽霊なキミ。
私は言葉を失った。



直人は。



生霊になる前から、私に会いに来ようとしてたんだ……。




嬉しくて、また泣きそうになる。



「……ありがとう……。」



小さくこぼれたその言葉に、直人は黙って私の頭を撫でた。
 



「おまたせ!!」


その時、空気を読まないお母さんがバウムクーヘンと紅茶をお盆にのせて現れた。




私達は慌てて身を離した。




チラッと直人を見ると、直人はペロッと舌を出して見せた。



私は苦笑いを返した。
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